私たちの住む世界では、情報技術が生活のあらゆる部分に浸透しています。スマートフォン、タブレット、パソコン…。日常の何気ない瞬間から学びの場面まで、テクノロジーは欠かせない存在となっています。
しかし、このテクノロジーとの関わり方を正しく学ばないと、子どもたちにとって未知のリスクが数多く潜んでいることに気が付くことができません。
保護者として、私たちが目を背けてはいけないのは、単にガジェットの使い方を教えるだけではなく、それを安全かつ有効に使うための「ITリテラシー」を育てることです。もしこれが不十分だと、どのような被害に子どもは直面するのでしょうか?
この記事では、ITリテラシーの不足が子どもたちにもたらすリスクや影響について列挙しています。保護者としてどのように子どもをサポートし、一緒に学んでいくべきか。子どもの未来をより良く、より安全にするための第一歩として、一緒に考えていきましょう。
オンラインセーフティのリスク
ITリテラシーが不足している子どもたちは、オンライン上での安全に関するリスクにさらされる可能性が高まります。例えば、個人情報の漏洩、オンライン詐欺、いじめ、性的な脅迫や誘惑などが挙げられます。
ITリテラシーが不十分な場合、子どもたちはこれらの危険から自分自身を守る方法を知らない為、正しい判断や行動をとる能力が制限されてしまいます。
子ども達に伝えたいリスク
個人情報の漏洩
友達だと思っていた人に、住んでいる場所や学校の名前を教えてしまうこと。それが悪意ある人物だった場合、事件・事故に巻き込まれる可能性がある。
オンライン詐欺
ゲームの中で「無料でアイテムをもらえるよ!」と言われて、リンクをクリックしてしまう。しかし本当はアイテムはもらえず、お金を無駄に使わされてしまうことがある。
いじめ
SNSやチャットで、知らない人やクラスメイトから嫌な言葉を言われたり、それに対して反論して事が大きくなってしまう。
性的な脅迫や誘惑
友達だと思って話していたオンラインの人から、不適切な写真を送られる。また、その写真を送るように強要される可能性がある。
そのまま大人になると
個人情報の漏洩
信用しているオンラインの取引先や友人と思っていた人に、住所や銀行の情報を提供してしまう。相手が詐欺師であった場合、重大な経済的被害やプライバシー侵害のリスクがある。
オンライン詐欺
オンラインショッピングや投資の広告に誘われ、「特別な割引」や「高い利益」を得るという誘惑に応じて情報やお金を提供すること。結果的に多額の損失を被る場合がある。
いじめ
SNSやオンラインフォーラムでの誹謗中傷やハラスメント。これにより、メンタルヘルスや社会的関係に悪影響を及ぼすことがある。
性的な脅迫や誘惑
オンライン上での性的なハラスメントや不適切な内容の送付。また、個人的な写真や情報を不正に取得・拡散される恐れがある。
情報の信頼性の判断力の欠如
インターネット上の情報は多様で広範であり、正確な情報と誤った情報が混在しています。ITリテラシーが不足している子供たちは、信頼性のある情報を適切に判断するスキルを持っていないため、誤った情報を信じたり、信頼できない情報に基づいた意思決定をする可能性があります。
子ども達に伝えたいリスク
間違った健康情報
インターネットで「熱が出た時にアイスを食べると早く治る」という情報を見て、実は風邪が悪化する可能性のあるアイスをたくさん食べてしまう。
誤った学習情報
宿題の答えを探すためにインターネットを使い、間違った答えや方法を信じてしまい、テストの点数が下がってしまう。
偽のニュースや都市伝説
廃墟で心霊現象が発生するというような都市伝説を信じ、好奇心から子供が該当する場所を探しに行ったり、夜遊びをしてしまう。
不正確な商品情報
「このドローンは1キロメートル先まで飛ばせます」という宣伝を信じ、お小遣いを使って本当は普通の玩具を高い価格で買ってしまう。
そのまま大人になると
誤った健康情報
オンラインで「特定のサプリメントで必ず免疫力が上がる」という情報を鵜呑みにし、実際には効果が科学的に実証されていない商品を高額で購入してしまう。
ビジネスや投資に関する誤情報
インターネット上のあやふやな情報に基づき、不確実なビジネスや投資に大金をつぎ込んでしまい、結果的に損失を被ってしまう。
偽のニュースや情報
ソーシャルメディアで拡散される誤報を信じ、社会的・政治的な判断を誤ってしまう。例えば、ある候補者が犯罪歴がある、あるいは極端な意見を持っているとのデマ情報が拡散。これに影響された有権者が、その候補者に投票しない判断をしてしまう。
不正確な商品情報
「この化粧品はシワを1週間で消す」というような過度な広告を信じ、実際の効果とは異なる商品を高価で購入してしまう。
デジタルフットプリントの問題
ITリテラシーの不足は、子どもたちのデジタルフットプリント(オンライン上の個人情報の蓄積)に関する問題を引き起こす可能性があります。
例えば、個人情報を無防備に公開する、プライバシー設定を適切に管理しないなどの問題があります。これにより、将来の雇用や人間関係に悪影響を及ぼす可能性があります。
子ども達に伝えたいリスク
SNSでの無防備な情報公開
自分の家の前の写真や学校の名前、毎日の行動パターンをSNSに投稿してしまい、知らない人に自分の生活を知られてしまう。
ゲームの中での個人情報共有
オンラインゲームで遊んでいる際、他のプレイヤーに本名や住所、電話番号を教えてしまう。
プライバシー設定の無視
SNSやアプリのプライバシー設定を見ずに、誰でも見られる公開状態で情報をシェアしてしまう。
将来の影響
中学や高校時代のSNSの投稿内容や写真が、大学入試や就職活動の際に不利に働く可能性がある。例えば、誹謗中傷のコメントや不適切な写真が原因で、大学や企業から不採用の決定を受けることがある。
そのまま大人になると
SNSでの無防備な情報公開
家の住所や現在の場所、旅行先、日常のルーチンをSNSに公開し、不特定多数の人々に個人の生活を知られるリスクがある。
オンラインネットワークでの過度な情報共有
オンラインのフォーラムやネットワークでの議論において、自らの実名や勤務先、職業などの詳細な情報を共有してしまう。
プライバシー設定の無視
SNSや使用しているアプリケーションのプライバシー設定を適切に行わず、誰にでもアクセスできる状態での情報公開をしてしまう。
将来のキャリアに与える影響
若い頃のSNSの投稿や写真が、キャリアアップや転職活動の際に不利に働くことがある。不適切な発言や画像が公開されていると、企業からの採用判断に悪影響を及ぼす可能性がある。
サイバーセキュリティの脆弱性
ITリテラシーが不足している子どもたちは、サイバーセキュリティの脅威に対して脆弱になる可能性があります。
例えば、強力なパスワードの作成や安全なウェブサイトの判断、不正なメールやリンクの識別などのスキルが不足していると、個人情報やデバイスがハッキングやマルウェアにさらされる可能性が高まります。
子ども達に伝えたいリスク
弱いパスワードの使用
自分の名前や生年月日、または「123456」のような簡単な数字をパスワードとして設定してしまい、悪意ある人物が簡単にアカウントにアクセスできるようになってしまう。
安全でないウェブサイトでの情報入力
ゲームや動画を楽しむためのサイトで、不審なポップアップが表示されたときに、そのまま情報を入力してしまう。
怪しいメールのリンクをクリック
「プレゼントが当たった!」や「パスワードを更新してください」というタイトルの怪しいメールからのリンクをクリックしてしまい、個人情報を盗まれたり、コンピューターやスマホがウイルスに感染する。
不適切なアプリのダウンロード
かわいいキャラクターや楽しそうなゲームのアプリをダウンロードする際、実は裏で悪意のあるプログラムが動いており、スマホやタブレットが不正に操作されるリスクがある。
そのまま大人になると
弱いパスワードの使用
シンプルな文字列や一般的なフレーズ、連続した数字などの簡単なパスワードを設定することで、不正アクセスを受けやすくなる。その結果、攻撃者によりランサムウェアがインストールされ、企業の重要なデータが暗号化され、身代金を要求される。
安全でないウェブサイトでの情報入力
オンラインショッピングや金融取引を行う際に、SSL証明書のないサイトや疑わしいURLのサイトで情報の入力をしてしまい、不正な取引やデータを窃取されるリスクがある。
フィッシングメールのリンクをクリック
「アカウントのセキュリティ確認」や「未払い請求の通知」などのタイトルで届くフィッシングメールのリンクをクリックし、個人情報やログイン情報を盗まれるリスクがある。
不正確なソフトウェアのインストール
公式でないサイトや未知の開発者からのソフトウェアをダウンロード・インストールすることで、マルウェアやスパイウェアが端末に侵入し、情報が窃取される可能性がある。
デジタルスキルの不足による教育や職業の制約
現代社会では、デジタルスキルがますます重要となっています。ITリテラシーが不足している子どもたちは、学校や職場で必要なデジタルスキルについて遅れをとる可能性があり、教育や職業の機会に制約を受けることがあります。
子ども達に伝えたいリスク
プレゼンテーションツールの使用
授業での発表にPowerPointやGoogleスライドなどのプレゼンソフトの使用が必要とされる場面で、その操作方法を知らないと、友人たちに比べて基本的なスライドしか組み立てられず、上手に発表するのが難しくなる可能性があります。
オンラインリサーチのスキル
宿題やプロジェクトでインターネットを使って情報を探す必要があるとき、どの情報が正確で信頼性があるのかを判断する能力がないため、間違った情報を使ってしまうことがあります。
文書作成ソフトの操作
レポートやエッセイを書くためのWordやGoogleドキュメントの基本的な機能(文字の大きさや色の変更、表の挿入など)を使えないため、仕上がりが他の子どもたちよりも劣ってしまう可能性があります。
オンラインコミュニケーションツールの活用
オンラインの授業や友達とのグループワークでZoomやSkypeなどのツールを使用する際、使い方を知らないために接続がうまくいかない、または他の参加者とコミュニケーションが取れないことがあります。
そのまま大人になると
プレゼンテーションツールの習熟
会議やビジネスの発表でPowerPointやGoogleスライドを用いる際、その操作やデザイン機能に習熟していないため、プロフェッショナルなプレゼンテーションができず、信頼性を損なう可能性がある。
オンラインリサーチ能力の欠如
プロジェクトや市場調査のためのインターネットリサーチを行う際、情報の信頼性や正確さを判断する能力が不足しているため、誤った情報やデータに基づく決定をしてしまう恐れがある。
文書編集ソフトの操作スキル
報告書や公式な文書を作成する際のWordやGoogleドキュメントの高度な機能(目次の自動生成、文書のフォーマット、図表の挿入など)を十分に活用できず、品質の低い文書を提出してしまう可能性がある。
オンラインコミュニケーションツールの適切な使用
ビジネスミーティングや遠隔ワークでのZoomやTeamsなどのツールを使用する際、技術的なトラブルや機能の不熟熟により、スムーズなコミュニケーションや情報共有が困難になることがある。
最後に
ITリテラシーの不足は、子どもたちだけでなく成長した後も影響を及ぼす可能性があります。
子どもの頃からの正しい知識とスキルの習得は、未来のリスクを減少させる鍵となるはずです。私たちは今後も次世代が安全に情報社会を生き抜くためのサポート情報を発信していく予定です。